【本感想】30代女性が「老前整理」を読みました

母が図書館から借りてきた本「老前整理」(著:坂岡洋子)を、私も読んでみました。

30代の私には早すぎるような「老前」ですが、学べることがありました。

老前整理って?

「老前」って聞き慣れない言葉かもしれませんね。
「老前整理」とは著者の坂岡洋子さんが提唱した造語です。
商標登録もされています。

「遺品整理」や「生前整理」はよく聞きますが、「老前整理」とはどんなものでしょう。

「遺品整理」は亡くなった人の持ちモノを残された人が片づけることを言います。
「生前整理」は残された人が困らないよう、生きているうちに身の回りを片づけておくことです。

どちらの整理も、残された人がする整理、残された人のためにする整理と「残された人」に主軸が置かれています。

一方「老前整理」は、今生きている人がこれからの人生を考え、よりよく暮らすためにする整理です。

年齢を重ねるごとに体力は衰え、モノを片づけることが難しくなっていきます。
将来に備え、気力・体力が充実している老いる前に整理をすることが大切なのです。
老いる前にはじめるから「老前整理」。わかりやすいですね。

老前整理をする大切さ

では、本の引用を交えて学んだことをまとめていきます。

介護現場の実態

著者の坂岡さんが「老前整理」という考えを思い立ったのは、インテリアコーディネーターという立場からバリアフリー、介護の仕事に携わったことがきっかけです。

そこでいくつかの大きな気づきを得たのです。
ひとつ目は、二〇〇〇年に導入された介護保険のお陰で、高齢者住宅においては、手すりの取り付けや段差解消といったバリアフリー化がかなり進んでいること。
ふたつ目は、多くのお宅ではモノが多すぎて、せっかく取り付けた手すりが使えなかったり、廊下や通路は車椅子が通れなかったりすること。床に置かれたモノが転倒の原因になる場合もあること。
三つ目は、いざ身動きが取れず老人ホームなどに入るとなったら、持っていける荷物がものすごく少ないということ。
現場を見れば見るほど、バリアフリーの問題よりも、モノが多すぎることを目の当たりにして驚いたわけです。

他人から見ればガラクタかごみ山同然の中で、暮らしている方がものすごく多いそうです。
足元がおぼつかなくなるお年寄りにとって、それはとても危険です。

介護といえば、ヘルパーさんが足りない、バリアフリーが整備されていないといった問題ばかりが取り沙汰されます。
もちろん、そうした問題もあるでしょう。
ただ、介護を受ける人の持ちモノの多さにより要介護者自身が危険にさらされることがあるのも事実なのです。

私の祖母は昨年亡くなりましたが、モノが少なくすっきりと片付いた家だったため、このような実態を想像だにしませんでした。

早急に片づけた方が良いですよね。
しかしお年寄りにとってモノを片づけることは、私たち若い世代には理解できない苦しみがあることを知りました。

「片づけ」は「死」を連想させる

片づけは他人が踏み込めません。
片づけるには、本人に納得してもらうことが必要です。
ところが、介護者、また周辺の人々はモノが多い問題に気づいていますが、要介護者本人は片づけの必要性を感じていないのです。もしくは気づいていても対応しません。

ここで高齢者の方の気持ちを理解する必要があります。
高齢の方にとって、モノが減ると不安になるそうです。
高齢者の方のほとんどが年金受給者であることを考えると、「捨てられない」のは若い世代の悩みとは本質的に違います。

若い方が「捨てられない」のは「損したくない」に近いです。
高齢者にとって、モノはいわば「財産」です。
財産を切り崩し、決められた額の年金でやりくりしているので、せめてモノだけはなくしたくないとどうしても執着を持ってしまうのです。
「捨てられない」は「生きたい」に近いのではないでしょうか。

捨てることを促すと、ものすごく落ち込んだり、納得して捨てたはずなのにゴミ置き場から後で拾ってきたり。
認知症が重なると「盗まれた」などトラブルに発展してしまいかねません。

 

体力的な問題もあります。
若く体力があったときはさっと片づけられたのに、年をとるとちょっとしたことが困難になってしまいます。
そこで「散らかってる」など詰問されると、本人にとって極めて残酷な言葉となるようです。

 

また「片づけましょう」と言うと、死を見越して整理させようとしていると受け取る人もいるそうです。
高齢者にとって片づけは、終末を意識させてしまうのだそうです。
「片づけ」という若い人にとっては前向きなイメージのある言葉でも、お年寄りにとっては微妙な意味合いを持ってしまいます。
良かれと思って片づけをすすめても、高齢者の方を追い詰めることになりかねません。

 

若い世代と違い、高齢になってからの片づけは非常にデリケートな問題が絡んできます。

「老前整理」を読むと、想像以上に老いてからの片づけがいかに大変かが分かります。
片づけは老いる前にすることが大切なのです。

年を重ねると片づけが難しい

「老前整理」にはコツがあります。
少しずつはじめるのです。

こんまりさんは一気に、短期に、完璧に片づけることを提唱しています。
だらだらと片づけている私がいうには説得力がありませんが、こんまりさんの言うことは真だと思います。
若い方はきっとこの方法で成功します。

ただ、ある程度年齢を重ねた人には難しい場合があるようです。

年齢を重ねた人にとって、慣れ親しんだ環境を変えることは大きなストレスになります。
弱っていればなおさら、心身ともに負担になります。
「散らかっているから」「ゴミだから」は当然な言い分ですが、無理に片づけさせない配慮も必要です。

高齢の方がゴミ屋敷に住んでいる場合、年齢や体調などから片づけができるか判断し、困難な場合は今のままの環境で気持ちよく暮らしてもらい、片づけ以外のお手伝いをさがす方が良いと著者は提案されていました。
本人が望まなければ、手を出さない方がいいのです。

「危ない環境」なのに無理に片づけない方がいいくらい、年齢を重ねると変化のストレスが大きくなるなんて。
ここからも、なるべく早い段階で「老前整理」をする大切さが伝わってきます。
配慮が欠け考えが及ばなかった浅はかさも知りました。

片づけは自分のペースでゆっくりと。
疲れたらやめる。
年齢を重ねた人の片づけは、少しずつがいいのです。

___親に片づけてほしい子ども世代にとってはじれったいですがね…。
より良い人生を築くための片づけで、身体を壊されては元も子もありません。
体力を考えて、無理のないように、気分良く片づけてもらいましょう。

親世代には読みやすいみたい

実践編では著者が主催するワクワク片づけ講座のワークが載っています。
例えば「ラクダで砂漠を旅するとしたら、何を持っていきますか?」など。

わたし的にはこうしたワークはよく見かけるため、別段目新しさはなかったのですが、母はとても感心していました。

今まで読んだ無数の片づけ本にも似たような内容は書かれていたと思うのですが。
人は「理解したいように理解する」生き物らしいので、自分が納得できる片づけ本の内容は、受け入れやすいようです。

昨今片づけ本の大ブームですが、多くは30~40代くらいの方が書かれた本が多いのではないでしょうか。
若いと元気がある分、小手先のテクニック、小難しい収納法などに片づけが流れてしまいがちです。
親世代には親世代に合った片づけがあります。
著者の年齢と近いと、同じ時代を生きてきただけあって共感しやすく読みやすいと思います。

先ほどありふれた…と書きましたが、この本の初版は2011年1月。
当時は斬新だったかもしれません。
同時期に出版されたベストセラー、こんまりさんの「人生がときめく片づけの魔法」も片づけ後のイメージを膨らませる大切さは提案されています。

「片づけられない女」よりも「減らせない女」

印象的だった一節を紹介します。

「片づけられない女」よりも「減らせない女」___。

講座に参加される方とお話をしている限り、後者の表現のほうが正しい気もしています。

私も「減らせない女」という表記のほうが正しいと感じました。

「片づけられない女」にはどうも解決不能な響きがあります。
そのためADHD(注意欠陥多動性障害)の傾向を持つ人が片づけられない___といった本がベストセラーになったのでしょう。
「片づけられない」のはどうしようもないこと、能力の欠如、仕方がない…そんな感じ。

とんでもないことだと思います。

確かに、人それぞれ個性があるように能力の優劣は多少あるとは思います。
生まれつき美人がいるように、生まれつき片づけが得意な能力を持った人だっているでしょう。

片づけはただの作業です。
目の前にあるモノを一つ一つ手に取り、要・不要を判断し、不要なものを取り除くだけです。

続けていれば、たとえ時間がかかっても片づきます。
こんまりさんも言っていました。
「片づけは必ず終わる」と。

一方、減らせない女には怠惰な響きがあります。
減らす必要があるのに減らそうとしない。

減らせない女=何もしない女

片づけは能力の問題ではなく、問題解決に向けて行動をしたかしていないかの問題です。

「片づけられない女」よりも「減らせない女」___片づけられないと思いこんでいる人に、良い問題提起になるのではないでしょうか。

読み終えて

今でこそ母に「片づけてよ!」と言うことは控えていますが、数年前はきつかったと思います。
母よ、ごめんなさい。

とはいえ、片づけて欲しい気持ちがあるのも事実。
近頃は「いらないから捨てる」のではなく、「これ危ないよ」「重たくない?」など、「安全への配慮」を促す程度にとどめています。
自覚があるのか、その方がすんなりとモノを手放してくれます。

 

母は今60代。
「老前整理」世代です。
先日、高齢世代の片づけについてテレビの番組を母と観ました。
他人のことはよくわかるようで、
「モノ多っ!」と言っていました。
テレビに映された家は、決してゴミ屋敷ではありませんが、危険程度にモノは溢れていました。
わが家もモノが多いのですが、危ないほどモノは散乱していません。
10年ほど前に引っ越したことが幸いしたのかもしれません。
それでも、これからのことを考えるとまだまだ「老前整理」を続ける必要があります。

世代間の価値観の違いを受け入れながら、ゆっくりと親の片づけに向き合おうと考えました。
そしてやがて老いていく私自身の片づけについても、考えさせられることがありました。

 

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